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Faculty of Agriculture

農学部
農が拓く未来。

人と環境のベストバランスが、貧困を救う。

竹歳 一紀 教授
貧困と環境悪化の悪循環を絶つ。

山の木はすべて切り倒され、禿げた山のてっぺんまで畑が作られている。中国で一番貧しい省といわれる貴州省に行くと、こうした光景を目にします。このように無理な耕作をするのは、もともと痩せた土地で生産力が低いためですが、禿げ山の畑からは表土が流出してしまい、長期的には収穫量が減ってますます貧しくなってしまいます。貧困が環境問題を生み、環境の悪化が貧困を加速させるという悪循環は、中国や東南アジアの国々をはじめとして世界各地で起こっています。日本の農村でも貧困というレベルの違いはあれ、同様の悪循環が起こってきました。私はこうした悪循環を絶つための環境政策や農村政策について、アジア・日本を対象に研究しています。

持続可能な発展を世界レベルで考える。

人と環境のバランスを保ち、持続可能な発展を進めるための一つの鍵は、教育です。環境保全への正しい知識を得ること、環境を悪化させずにより高い収入を得ること、これらのために教育は不可欠です。しかし、貧困地域では義務教育があるにもかかわらず、家の手伝いなどで学校に通えなくなる子どもたちが少なくありません。また、初等教育だけでなく、手に職をつける職業教育の充実も必要です。もう一つの鍵は、自然資源や環境を利用した産業の振興です。例えば太陽光や風力・小水力による発電で農家の所得を補うことは、ドイツをはじめ近年日本でも始まっています。さらに、自然を楽しむアグリツーリズムやエコツーリズムも多くの国で盛んになってきています。
そして、人と環境のバランスという観点から注目しているのが、龍谷大学農学部のある滋賀県。滋賀県では、「琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業」を世界農業遺産に登録申請するプロジェクトを進めており、私もお手伝いしています。琵琶湖の回りの水田は湖魚の産卵場となり、獲れた湖魚は「ふなずし」などにして食されてきました。現在そうした水田は貴重なものになっていますが、人の営みが自然とのバランスを取りながら持続してきた代表的な例といえます。この滋賀県の事例が、持続可能な発展を世界レベルで考える一つの手がかりになればいいなと考えています。

研究が創る未来
人と環境のベストバランスが、貧困を救う。

貧困問題や環境問題は経済や世界情勢など様々な問題とも絡み合い、簡単に解決する問題ではありません。しかし、人が環境とのバランスをうまくとりながら暮らせるような施策をとることで、貧困地域を少しでも減らし、世界全体が持続的に発展していくことが可能になると考えています。

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