資源生物科学科

農作物の改良・栽培技術を学び、安全で環境と調和した農業を追求する。

いのちの源を育む。
学びのポイントは?
  • 科学に基づく実践的な農業技術を学ぶことができる。
  • 農作物が最大限に生産力を発揮できる環境をつくることができる。
  • 持続可能な農業を支えるバランス感覚を養うことができる。
  • 農業、環境、健康等の広い視野で農学を学ぶことができる。

農業科学(自然科学領域)

農業に直結した科学知識を身に付ける。

農業に直結した科学知識を身に付ける。食の安全・安心を支える農作物を生産する上で、品種改良技術や栽培技術に関する知識は欠かせません。それらを正しく理解するために、育種学や生物学をはじめとする農業に直結した「自然科学領域」を学びます。
つまり、より良い品種の育成やそれぞれの品種に応じた栽培技術を学ぶことはもちろん、気候の変動に伴う極端な気象や土壌の劣化、病害虫の拡大など、栽培環境の変化に対する農作物の反応を学び、多様な農作物の能力を利用して農作物の生産力向上をめざします。


持続可能な農業のあり方を考える。

持続可能な農業のあり方を考える。未来にわたって食の安全・安心を支え、いのちの源を育む農業は持続可能なものでなければなりません。農作物の生産基盤となる土壌の保全、農薬や化学肥料などが環境に与える影響の評価、有機廃棄物の堆肥化といった有用物質再生技術などを学び、理解することにより、自然環境と調和した農業のあり方を追求します。


講義

植物育種学

これからの日本には、どのような品種が必要でしょうか?

猪谷 富雄 教授

わたしたちが食べるお米はジャポニカに属し、粘りがありモチモチしています。しかし、世界全体では粘りがなくパサパサした食味のインディカが主流で、東南アジアではめん類やライスペーパーにもなります。日本でも、多収品種から、良食味品種、さらには健康でいたい、簡便なものがいいという、ニーズの多様化に向けた育種目標の変化があります。最近は米パンやヌードルに向いた高アミロース米、また低アレルゲン米、低グルテリン米、香り米、色素米、巨大胚芽米、飼料米、観賞稲等、さまざまな用途に向けたお米の品種が開発されています。
植物育種学は、作物の品種改良に関して学ぶ分野です。分離育種、交雑育種、倍数性育種、突然変異育種、遺伝子組換え等、その原理を身近な例から学びます。地球温暖化や環境保全の観点も大切ですね。みなさんならどんな作物を対象にどのような育種目標をもって品種改良を行いたいですか?農学部で多くの分野を学びながら、将来のための品種改良を考えてみませんか。
これからの日本には、どのような品種が必要でしょうか?

作物学Ⅰ・Ⅱ

豊かな生活に不可欠な作物生産の原理と技術を学ぶ。

畑 信吾 教授/大門 弘幸 教授

わたしたちの生命は作物に依存していますが、栽培化と遺伝的改良を経た作物も、わたしたちが手を加えなければ十分に生育できません。作物学Ⅰでは、イネ科穀類・マメ類・イモ類等、主要な食用作物を対象として、わたしたちと作物とのかかわり、それらの来歴、植物学的特徴、栽培・加工技術、品種の特性等を学びます。また、作付体系の重要性や作物の受光体勢、資源獲得様式等も学びます。作物学Ⅱでは、食用作物に加え、食料自給率向上に不可欠な飼料作物や地域活性化に役立つ工芸作物を対象とします。特に個体と個体群のパフォーマンスの違いを意識しながら、作物の生理生態学的特性と栽培管理を学び、成長解析や収量予測へとつなげます。さらに全体を通じて、環境と調和した持続的生産の展開を考察します。
豊かな生活に不可欠な作物生産の原理と技術を学ぶ。

土壌学

土壌の生成過程と作物生産における役割を学ぶ。

森泉 美穂子 准教授

土壌は、長い地球の歴史のなかでさまざまな地球科学的現象の下で生成され、さまざまな生命を育んできました。多くの作物は土壌の上で育ちます。土壌には作物を育てるために必要なさまざまな元素が含まれているのです。土壌学では、土壌の母材である岩石・鉱物・土壌有機物等の基礎的な性質を学びます。さらに、土壌の温度・水分・硬さ等の作物が育つために必要な物理的特徴を理解します。これらの知識を基に作物が適正に育つ土壌環境の保全や持続的な農業に必要な土壌肥沃度の管理方法を考察します。また、作物の栽培に必要な肥料の歴史を学び、地下資源との関連性を学修します。さらに、日本および世界に分布する代表的な土壌の性質および生成過程を学びます。土壌学の講義は地球の「土壌の旅行案内」です。これからみなさんが経験するさまざまな場面で、作物を栽培したり、観光を楽しんだりする時に、講義で得た知識を活用し、さらに土壌への理解を深めることを期待しています。
土壌の生成過程と作物生産における役割を学ぶ。

研究紹介

農業生産の現場で窒素循環の視点から効率的な作物栽培を探る

大門 弘幸 教授

今、化石エネルギーの枯渇が懸念されています。わたしは、土壌中に生息する根粒菌という窒素固定細菌に着目し、この微生物が共生するマメ科植物を肥料として利用する「緑肥」や、マメ科とイネ科を隣同士に植えて窒素肥料が少なくてもすむような「混播」の研究をしています。ダイズやクローバなどのマメ科植物は、根粒菌と共生して、大気中のN2をNH3にして利用しています。これをトウモロコシやムギ類といった穀類の窒素肥料の一部にできないでしょうか。最近、ヘアリーベッチというマメ科植物とコムギを一緒に播いて、コムギの穂が出る前にヘアリーベッチだけを刈り取ると、コムギの葉の緑色が急に濃くなり、種子タンパク量が増えることがわかりました。パン用のコムギには高いタンパク含量が必要なので、窒素肥料を追肥するのが一般的ですが、それをこの混作・刈り取りで実現できればと思っています。また、アレロパシーという雑草を抑える植物の特性に着目し、除草剤を減らす栽培法も探っています。栽培技術の多くは土の中の根への働きかけなので、根のパフォーマンスを知ることが栽培法を考える際には重要になります。根は土の中にあるので目にはさやかに見えませんが、大事な植物の要素です。その研究方法も提案しなければなりません。目線の先は常に農業生産の現場です。
大門 弘幸 教授

果実の香気生成機構に関する研究

ウェンダコーン スミトラ 講師

園芸作物である野菜・果物は収穫後も生きています。青果物(野菜・果物)の生き物としての生理的特性を考え、貯蔵・流通における香気・栄養成分等の品質に関する研究を行っています。主には、果実の追熟に伴う香気生成経路の解明に関する研究です。野菜の主な香りは、アルデヒド類や硫黄化合物等ですが、果物の香りの多くはエステルという香気成分です。エステルは果物の細胞内で酸とアルコールを基質としアルコールアシルトランスフェラーゼ(AAT)という酵素によって触媒されて生成されます。今までは、低酸素におけるバナナ果実のエステル生成について研究し、酸素の低い状態では、エステルの酸残基の供給が阻害されること、短期間の低酸素下ではAATが影響を受けないことを調査してきました。現在は、トマト果実の香気生成についても研究をすすめています。
トマトは“青臭い”匂いが特徴ですが、その香り成分の多くはアルデヒド類です。この匂いが原因でトマトが苦手な人も少なくありません。実は、トマトもエステルを生成する能力は持っています。しかし、通常トマトはエステルを生成しません。そこで、わたしは、トマトがなぜエステルを生成しないのかを研究しています。もし、果物のような甘い香りのトマトがあれば、品質価値もさらに高くなり、トマトが苦手な人でも栄養分豊かなこの野菜をおいしく食べられるかもしれません。
ウェンダコーン スミトラ 講師

「開花を速め、老化を抑制し、未熟な蕾も咲かせる」夢の切り花処理剤の開発

佐藤 茂 教授

エチレンは、リンゴやバナナ、トマトの果実の「成熟ホルモン」として知られています。この作用に加えて、種子の発芽や花の老化(しおれ)を促進します。わたしは、雑草のオナモミ種子の発芽の研究で、はじめてエチレンを取り上げました。その後、トマトやセイヨウナシの果実、カーネーション切り花を材料にして、エチレンの生合成と作用の研究を続けてきました。この間に、エチレンを生成しない長寿命カーネーションやエチレン非感受性で葉が黄化しないキクを遺伝子組換えによって作出することもできました。現在は、カーネーションを材料にして、蕾の開花と花の老化の仕組みの研究と、花の観賞期間を延長する技術開発をすすめています。具体的には「花(蕾)の開花を速め、同時に老化を抑制し、しかも本来開花しないで寿命を終える蕾も咲かせる」薬剤を発見し、この薬剤を「夢の切り花処理剤」として実用化する研究を行っています。
このほかに、食用ギクの栽培技術の検討やササユリ(絶滅危惧種)の増殖等、地域の課題解決のための研究にも取り組んでいます。ササユリは自然条件では発芽から開花まで7年くらいかかります。特に、種子は約1年をかけて土中で発芽し、その後地上に葉を出す(出芽)までにさらに半年かかります。わたしたちは、発芽方法を工夫して10日で発芽させることに成功しました。今後は、播種後2年程度で開花させることを目標にして、栽培法の検討を行っていきます。
佐藤 茂 教授

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