食料農業システム学科

「食」や「農」を支える生産・流通の社会的な仕組みを学び、そこに潜む問題の解決に取り組む農学部教員ブログ

「食」や「農」の社会問題に挑む。
学びのポイントは?
  • 「食」や「農」の社会問題・経済問題を理解できる。
  • 「食」や「農」のビジネスから農村文化まで多様な問題を学べる。
  • グローバルな視点を身につけることができる。
  • 社会調査・データ分析能力とコミュニケーションスキルが修得できる。

学びのイメージ

「食」や「農」に関わる社会の問題を学ぶ。

「食」や「農」に関わる社会の問題を学ぶ。人が社会生活を営む上で不可欠な経済活動として農を捉え、食を支える生産と流通の社会的・経済的な仕組みを学びます。食料の生産と消費が私たちの暮らしの中で果たしている役割を歴史的な背景や農村部における地域コミュニティーの観点も組み込みながら考察。食と農が結びついた「持続可能な農業」のあり方を追求します。
また、食や農をめぐるさまざまな問題が地球規模で多発している現状を踏まえ、国際的な観点からも問題解決に取り組みます。


社会・経済の仕組みの問題として
「食」や「農」の矛盾を捉える。

食料危機への懸念が高まる中で、有り余る食べ物を消費する国と飢えに苦しむ国の両方が存在しています。日本では農地が余っているにも関わらず、それを活用して食料を生産するのではなく、海外から大量に食料を輸入し、大量に食料を廃棄するという奇妙な行為を日常的に行っています。このように、食と農を取り巻く状況は矛盾に満ちています。食や農をめぐる問題は、生物学や化学分野だけの問題ではありません。本学科では食や農の問題を「社会や経済の仕組みの問題」として捉え、その解決の糸口を探ります。

講義

アグリフードビジネス論

農と食の豊かさとビジネスの進化を探求する。

淡路 和則 教授

「農」と「食」にはさまざまな企業がさまざまな形でかかわっていますが、ちょっと時計の針を戻してみてみましょう。農家が堆肥を自家生産していた頃は、化学肥料を製造する業者はいませんでした。また、食事は食材を買って来て家で調理して食べるのが当たり前だった時代には、便利な調理済み食品を提供する企業はありませんでした。こうした資材や食品を供給するビジネスは、生産技術の発達、ライフスタイルや食生活等の変化に伴って、どのように生まれ、どのような展開を遂げてきたのでしょうか。講義ではこうした科学技術の進歩や社会の変化のなかでビジネスチャンスを見出して成長する企業の行動原理をとらえ、その発展論理に迫ります。さらに、農業・農村の多面的役割が重要視され、農業や農村自体がツーリズムの対象となる事例や、循環型社会形成を目指すなかで食品リサイクル等、新たなビジネスが創出される事例を紹介し、その社会的経済的な意義を考えます。
農と食の豊かさとビジネスの進化を探求する。

比較食文化論

世界の食文化、その多様性や地域性、変化を学ぶ。

落合 雪野 教授

世界各地の人びとは、自然環境や歴史、社会の仕組み等を背景に、それぞれに特徴ある食文化を形づくってきました。食文化は、人がものを食べる行為に欠かせない、食べものや食べ方についての知識や技術、価値観の全体から成り立っています。また、生産や貯蔵、流通、加工、調理、食事でのふるまいやマナー等、食に関するすべてのプロセスと関連しています。
最近の国際化する社会のなかでは、わたしたちが異文化としての食に直面する機会が増えてきました。また、グローバルな食糧問題がローカルな食文化と深く結びついていることが指摘されています。この講義では、農業と食を関連づけた幅広い視点に立ちながら、食文化とその変化についての基礎的な知識を身につけるとともに、それぞれの食に関する事情や価値観を尊重することの意義について学びます。
世界の食文化、その多様性や地域性、変化を学ぶ。

国際食料需給論

世界の食料問題の現状と将来を考える。

竹歳 一紀 教授

世界の人口は、現在の73億人から2050年には97億人に達すると予測されています。そして、アジア・アフリカの国々の経済が発展し、人々の生活が豊かになることは、1人あたりの食料消費の増加を意味します。こうした食料消費の増大に対して、それを満たす生産に必要な水や土地を十分に供給できるのか、地球温暖化による気候変動で食料生産が影響をうけるのではないか、といったことが懸念されています。
現在、地球規模での食料不足は起こっていないものの、日本をはじめとした先進国では飽食ともいえる食料の大量消費と大量廃棄がなされる一方、発展途上国では十分な食料を得られない人々も少なくありません。このような世界的な食料分配の不平等も重要な問題です。講義では、ここで説明したような消費・生産・分配それぞれの面から、世界の食料問題の現状と将来を考えていきます。
世界の食料問題の現状と将来を考える。

研究紹介

アフリカで農民が直面している問題にアプローチ。

坂梨 健太 講師

世界のカカオの約7割を生産している熱帯アフリカにおいて、農民がどのような政治・経済・社会的な問題に直面しているのか、関係者へのインタビューや資料収集を通して明らかにすることが、研究のひとつの目的です。また、析出した問題がなぜ現れたのか、どのような解決策があるのかを考えることも課題です。
たとえば、カカオ生産を行うに当たって労働力の問題が挙げられます。多くの方は児童労働の過酷さを想起されるかもしれません。児童労働が見られる地域では、移民の子どもが多く使われています。一方、移民がほとんど存在しない地域もあります。そのような地域では、カカオ収穫の労働力を近隣の人びとに依存しています。カカオ生産において、なぜ、どのようにして移民が動員されるのか、また、動員されない地域ではどのような背景があるのか、現状はどうなっているのかを探っていくためには、現場での調査が必要不可欠になります。
現地の状況を世界に伝え、カカオ生産にかかわる人びとの生活がよりよいものにつながる研究が理想でしょう。しかし、そのような理想とは別に、ある地域をつきつめて見ていくことによって、さまざまな点で同時代に生きるわたしたちと共通する部分や共感できる場面が見出されます。また、わたしたちの日常生活のなかで当たり前だと思う見方や感覚が揺るがされる場面に出合うはずです。それが事例研究の面白さだと思いますし、そのような研究をまずは目指しています。
坂梨 健太 講師

社会全体を見渡した政策評価が求められています。

宇山 満 准教授

食料・農業・環境にかかわる諸問題に対して、政府は農業政策という名のもと、さまざまな制度を設けたり、各種政策を実施したりしています。しかし、なぜ市場での自由な取引に任せたままではなく、規制や誘導といった手段を用いて、政策目標を達成しようと政策を行うのでしょうか?
本来、市場というものは資源配分の面では、ずば抜けて優れた機能を持っているといわれています。
しかし、市場も万能ではありませんから、うまく働かない場合があります。こうした時、政府、政策の出番が出てくるわけです。といっても、市場への政策介入を行えば、必ず生産者や消費者等の経済主体に影響を与えずにはおきません。どういうグループにどういうプラスあるいはマイナスの影響があるのか、また別のグループにはどういう影響があるのかを必ず考えておかねばなりません。そのためには、生産者や消費者等の意思決定と行動についての理解が不可欠です。また、個々のグループへの利害とともに、それらを全体としてみた社会全体への影響についても見落としてはいけません。つまり、誰にプラスで、誰にマイナスなのか?そして社会全体としてみればどういう影響がでているのかという形で、政策は事前的にも事後的にも評価しておくことが必要です。ある特定のグループの利害に偏るのではなく、社会全体としてはどう評価できるのかという客観的にものを見る目を磨き、分析することが求められています。
宇山 満 准教授

食・環境・社会について考える。

中川 千草 講師

環境保全と日常生活の維持・向上とのバランスやそれらを可能にするプロセスについて、フィールドワークに基づいた研究をしています。いくつか例を出しましょう。ある町では、登録農家の約74%が有機農業に従事し、直売所で安心・安全を謳う野菜を安く購入できます。土地や農産物の品質管理が厳しい有機農業がこれほど盛んになったきっかけは、大規模な森林伐採計画という苦い経験でした。しかし、今のうまくいっている姿からは、過去の苦労や乗り越えようとしている課題は見えてきません。
西アフリカのギニアには、マングローブを燃料として使用し、製塩や魚の燻製を行う人びとが暮らしています。ある日、「マングローブ伐採は豊かな生態系を壊す。この方法をやめるべきだ」と主張する環境保全団体が現れました。この意見はもっともらしく聞こえますが、実は他者の生きる糧を一方的に批判するという乱暴さを併せもっています。マングローブが減少し生態系が壊れた時に実際に困るのはむしろ、マングローブを利用する人びとです。つまり、そのバランスをとるための知恵が現場にはあるにもかかわらず、それらは無視され、環境保全活動が行われていることが少なくありません。
現場に出かけ、人びとの話にじっくり耳を傾けながら、持続性のある食料生産と環境保全を可能にする社会づくりについて考えること、それがわたしの研究テーマです。
中川 千草 講師

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