海外好きの母の手料理には、お米ではなくパンが並ぶこともしばしば。その影響もあってか、「食」に興味があり、龍谷大学の農学部へ。植物生命科学科を選択したのは、遺伝子や細胞レベルという、より細かい視点で「食」を追求できるところに惹かれたからです。今は、小麦アレルギーのある人でも食べられる小麦食品の誕生をめざして、アレルギー症状を出さない小麦の開発に取り組んでいます。20種の小麦を育てて、それらの小麦をかけあわせ、アレルギーを出さない新たな品種を生み出すのです。小麦のタネを取り出すところからはじまり、毎日水やりをしながらその変化を記録し、成長した小麦を収穫。製粉してパンを作ってみると、うまく膨らまないものもあったりして地道な作業が続きますが、幼い頃から何でもあきらめずに続けられる方だったので、一進一退の研究も苦にはなりません。小麦アレルギーの人には米粉のパンという選択肢もありますが、小麦のおいしさとはまた違うものなので、このおいしさを多くの人に届けられたらと思います。