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Faculty of Agriculture

農学部
農が拓く未来。

鼻で味わう食べ物を。

Wendakoon S.K.(ウェンダコーン S.K.)講師
香りを変えて、青果物の品質向上に。

果物は収穫したらそこで完成。そう思っている方けっこういらっしゃるんじゃないでしょうか。実は果物や野菜といった青果物は、収穫後も生き続けています。その青果物の生き物としての生理的特性を考えて、貯蔵・流通における香り・ビタミンCの変化、青果物の切断による変色などの品質に関する研究を行っています。その専門分野は収穫後生理学と言われています。そのなかでも私は、主に果実の熟成における「香り」について研究をしています。私たちは食べ物を食べるときに、味覚だけでその味を判断しません。嗅覚で香りも一緒に風味として認識しています。特に果物にとっては香りが命です。果物のフルーティな香りは「エステル」という成分です。通常、熟成に伴って「エステル」がどんどん出てくるものですが、果物によってはその「エステル」が生成されにくく、フルーティな香りが出てこないものもあります。その原因を調べています。
最近、トマトの香りについても調査しています。トマトは‘青臭い’匂いが特徴ですが、この匂いが原因でトマトが苦手な人もいます。私もその匂いは苦手です。実はトマトも果物と同じように「エステル」を生成する能力はあります。でも、通常エステルは生成しないです。では何故トマトはエステルを生成しないのか。その研究も行っています。その原因を探し、日夜苦手なトマトとにらめっこしています。また、消費者に高品質の青果物を提供できるように「品質保持」に関する研究もすすめています。青果物は生きているため温度や空気の変化に敏感で、香りやその他の品質(色、ビタミンCなど)は変わりやすいです。特に、果物の場合、香りの変化が消費者に影響を与えやすいので、果実周囲の環境条件と香り生成についての調査を行っています。

スーパーもレストランも立派な研究施設。

果物・野菜といった身近なものの香りを研究していると、日常生活でも研究の応用や研究のヒントが隠れているので面白いです。例えばスーパーへ買い物に行った際に果物コーナーを覗くと、香りや色などの状態を見るだけで、その果物が新鮮かそうじゃないかがわかるようになりました。一種の職業病かもしれませんが、私の中では「果物のお医者さん」のイメージです。買ってきた野菜や果物がよりおいしい状態が続くような保管方法も研究結果をもとに実践できるので、私の日常を豊かなものにしてくれています。外食の時にでてくるサラダや果物を見て新鮮かどうかもわかることがあるので、楽しくなりますね。青果物の状態がわかるようになると、もっと知りたくなる、だから研究も進む、毎日良い環境で研究ができています。

研究が創る未来
鼻で味わう食べ物を。

トマトが苦手な人って香りが「青臭い」からという人が多いと思います。海外でもその傾向が強く、料理されているトマトは大丈夫だけど、生のトマトは苦手という方がいらっしゃいます。私の研究が進んで、香りのメカニズムが判明して、フルーティな香りのするトマトができたら、今まで苦手だった人にもおいしく食べてもらえるかもしれません。もちろんトマトだけじゃなくて、いろんな野菜や果物にも応用できるようになったら、「好き嫌い」って考えが変わるかもしれません。高い栄養価があるのに、香りのせいで食べられなかったあの野菜が食べられるようになったらとても素敵なことですよね。

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