Need Help?

Faculty of Agriculture

農学部

農場・施設・設備

9号館

9号館 360度パノラマビュー

大きな画面で見る

最先端の設備を備えた、研究に打ち込める環境

食の循環から農をとらえ、地球的課題の解決策を探る本学農学部は、生命科学科・農学科・食品栄養学科・食料農業システム学科の4つの学科で構成しています。
9号館は、各学科教員や学生たちが研究や実習を行うためのさまざまな研究設備を整えており、最新の実験機器で研究ができる環境を提供しています。
農場と併せて、体験と実践を基本とする教育が展開されています。

最先端の設備を備えた、研究に打ち込める環境。

9号館

給食経営管理実習室/オープンキッチン

給食施設における大量調理をシミュレーションできる最新の厨房機器が設置された実習室

管理栄養士国家試験の受験資格取得に必須の「給食経営管理実習」で使用。最先端の厨房機器を用いて実際の給食をイメージした約100食分の大量調理の実習を行います。つくった料理は、隣接するオープンキッチンで教職員や学生に提供し、給食運営を疑似体験できます。

給食経営管理実習室

給食経営管理実習室

実際の給食施設に近い環境下で
実践的かつ衛生的な調理技術を体得する

朝見 祐也
給食経営管理学研究室

食品栄養学科 教授

朝見 祐也

あらゆる調理法に対応したスチームコンベクションオーブンや食材の急速冷却が可能なブラストチラーなど最新の厨房調理機器を導入しており、管理栄養士をめざす学生が最先端の給食経営管理を学べます。学生たちは実際に約100食分の大量調理を行い、併設されたオープンキッチンで提供もします。その際、食事する学部生や教職員に料金を支払ってもらうのがポイント。学生自身が調理した食事の対価を受け取ることで、給食管理において重要なコスト面を自然と意識するようになります。そして、赤字にならないように献立を工夫するなど、実際の給食運営に役立つ技術や管理栄養士に必要な知識を実践的に身につけます。大学院生は、フードサービス業界で提供される食事の調理法を学ぶため、特に衛生管理に重点を置いた調理実習を行います。農場から食卓に届くまでの衛生管理や流通方法について理解を深めながら、衛生的な調理技術を体得できるのも、実際の給食施設さながらの設備が整っているこの実習室ならではでしょう。おいしさはもちろん、衛生的かつ効率的な食事提供を理解し、給食施設をマネジメントできる人材を多く輩出したいと考えています。

臨床栄養学実習室

模擬病棟で栄養アセスメント・栄養指導を学び、チーム医療で活躍できる管理栄養士に成長

病気をもった人の身体と栄養の関わりについて学ぶための実習室です。医療ベッドや車いす、内臓脂肪測定装置、脈波伝播速度測定装置、心電図などを完備し、実際の病院を想定した本格的な実習が行えます。

臨床栄養学実習室

臨床栄養学実習室

専門知識や多職種連携の方法を体験学修し、人に寄り添う心も養う

矢野 真友美
臨床栄養学研究室

食品栄養学科 講師

矢野 真友美

管理栄養士はチーム医療の一員として、医師や看護師と共に病棟を巡回して患者と直接触れ合います。臨床栄養学実習室は、その際に必要なコミュニケーションスキルや心構え、ベッドサイドでの栄養アセスメント・栄養指導の方法、チーム医療内での適切な提案手法などを実践的に学ぶための実習室です。臨床現場で使用される設備を備え、プロの模擬患者による栄養指導演習も取り入れ、本番さながらの緊張感が漂う実習を行います。機器は複数台用意され学生全員が滞りなく体験可能。体脂肪測定キットや脈波伝播速度測定装置の扱い方、血糖値検査データをはじめとした検査データの読み方などを修得できます。また、心電図や胃ろうモデル、点滴シミュレータなども完備。医師や看護師が行う医療行為や医療機器の目的・意義、他職種の専門用語についても学び、チーム医療で活躍するための素地を養います。さらに、特殊メガネや重りを用いた高齢者疑似体験をはじめ、車いす体験や杖歩行体験も実施します。高齢になると床のペンを拾うだけでも大変なことや、車いすでは少しの段差でも乗り越えられないことなどを体感し、患者に寄り添う心を育みます。

臨床栄養学実習室

臨床栄養学実習室

栄養教育実習室

最新のシステムやコンピュータを活用し
栄養教育に関する専門的な知見を身につける

病院や官公庁の栄養指導にも採用されている「食育SATシステム」やコンピュータなど各種情報機器を駆使して、栄養バランスに配慮した食事設計を学ぶ実習を行います。また、食育の模擬授業や栄養指導のロールプレイングで活用できる子ども向けの絵本や紙芝居といった教材も設置。食育を推進する技能を修得して、栄養教育の手法と実践力を養います。

栄養教育実習室

栄養教育実習室

現場さながらの学修環境を活かし即戦力となれる管理栄養士を育成

岡﨑 史子
栄養教育学研究室

食品栄養学科 准教授

岡﨑 史子

人々の健康を食の面からサポートする管理栄養士は、園児や児童・生徒から、メタボリックシンドロームが心配な中高年、体力低下が懸念される高齢者まで、あらゆる世代の栄養教育を担っています。同じ年代でも、アスリートや妊娠授乳中の女性、治療中の人など、対象者ごとに健康状態が異なるため、それぞれの健康や栄養状態、食行動、食環境、食知識などの情報を総合的に判断して、対象者に適したプログラム展開が求められます。そんな多岐にわたる栄養教育の知識や技能、手法を実践的に学べるのが、栄養教育実習室です。ICチップ内蔵のフードモデルをセンサーに乗せると瞬時に栄養価を計算し、結果を表示する「食育SATシステム」を完備。これは病院や官公庁での栄養指導に導入されているツールで、現場さながらの最先端技術を体験できるのが特長です。また、子ども向けの紙芝居や絵本といった教材や可動式の机を活用して、コミュニケーション力の向上に不可欠な栄養指導のロールプレイングや模擬授業も実施します。近年需要が高まってきている「ICTを活用した栄養教育」にも対応しており、即戦力として活躍できる専門的な能力を身につけることができます。

栄養教育実習室

栄養教育実習室

栄養教育実習室

調理学実習室/食品加工実習室

おいしくて美しい、そして栄養管理が行き届いた
メニューの考案や料理の提供を行う技能・感性を培う

調理学実習室には各種調理機器や調理器具が備わり、調理の基礎や応用の実習を行います。食品加工実習室には缶詰をつくる巻締機や殺菌に使うオートクレーブなどが完備され、缶詰をつくったり、みそや豆腐などの加工品づくりにより、食品加工のプロセスや食品衛生の実際を学びます。各実習をとおして、食材の調理・加工技術や、健康的かつおいしいメニューを組み立てる知識を身につけます。

調理学実習室/食品加工実習室

調理学実習室/食品加工実習室

調理の科学と理論を実体験から学び、食へのセンスを磨く

山崎 英恵
食品生理学研究室

食品栄養学科 教授

山崎 英恵

調理や食品加工に関わる実習を行います。「調理学実習」では、和食の一汁三菜の調理からスタート。火加減を調節してお米を炊いたり、昆布とかつお節から出汁を取ったり、煮炊き物をつくったりしながら、調理の方法や器具の使い方などを基本から学びます。また、西洋料理や中国料理など幅広いジャンルの料理にも挑戦し調理技法を修得します。実習のポイントは、座学で学んだ科学的知識を実際の調理をとおして体験する点。例えば、だし巻きや茶碗蒸しなど複数の卵料理をつくることで、卵の白身と黄身の凝固温度の違いを実践的に理解していきます。

栄養管理に加えて、おいしく食べやすい献立を考案し、安全に提供する基本的なスキルと応用力を身につけることが目標です。そのため、油や糖を抑えつつ、食べた人が満足できるような調理テクニックや感性も育みます。また、器にもこだわり、多彩な食器を揃えているのが本学の特長です。「おいしそう」と感じられる盛り付けのセンスも磨けます。さらに、おせち料理やひな祭りのちらし寿司といった行事食をつくることで食文化への理解を深めたり、滋賀の郷土料理であるうなぎのすき焼きを体験して地域食への造詣を深めます。

調理学実習室/食品加工実習室

調理学実習室/食品加工実習室

調理学実習室/食品加工実習室

基礎実験室1・2

自らの手で実験や実習を体験し
3年生以降で履修する専門科目の基盤を確立する

フラスコやシャーレなど基本的な実験器具、顕微鏡や解剖器具などの実験機器、最新の視聴覚機器を備えており、2年生の学科基礎科目のうち、主に食の安全に関する科目の学生実験・実習に使います。科目の内容を実際に体験し、多面的に理解するという意義があります。

基礎実験室1・2

基礎実験室1・2

じっくりと実験に取り組み実験の原理に対する理解を深める

田邊 公一
応用微生物学研究室

食品栄養学科 教授

田邊 公一

学生が実験に慣れ親しみ、実験の原理を理解することを目的に、2年生の学科基礎科目で使用します。「微生物学実験」では、滅菌操作や顕微鏡観察を通じて微生物の取り扱い方を学び、食品に付着する微生物の菌種を調べて身近に存在する微生物への理解を深めます。「食品衛生学実験」では、インスタントラーメンやひき肉など普段から口にする食品を用いて、腐敗や添加物に関する実験を行います。この施設は小規模で目が届きやすく、モニターを介さず実験操作の実演を間近でみられるため、実験に不慣れな学生でも安心して学べます。また、顕微鏡や実体顕微鏡が2人に1台用意されているなど実験機器が充実しており、時間をかけてじっくり実験操作に取り組めるのも特長です。プロジェクター関係の最新視聴覚機器は、コンピュータやカメラ、顕微鏡などの複数機器の同時接続が可能で、画面を切り替えながら、効率よく授業がすすめられます。座学の授業と連結すれば、より理解が深まるので、学生には座学と実験を並行して受講するよう推奨しています。これらの科目は一般的な理系学部の学修内容も含むため、管理栄養士以外の仕事にも役立つ幅広い知見を得られます。

基礎実験室1・2

基礎実験室1・2

基礎実験室3・4

1度に100名以上での実習可能な設備機器を完備
助手のサポートのもと実験技術の基礎を学ぶ

植物などの個体レベルからタンパク質やDNAといった分子レベルまで、幅広い実習内容を網羅できる機器や器具が整備され、多くの実験科目に対応しています。また2つの実験室にまたがる大人数の実験でも指導が行き届くよう、教員の声やスライドが配信できる仕組みを完備。配置された助手のサポートを受けながら、基礎的な実験技術や原理を学びます。

基礎実験室3・4

基礎実験室3・4

じっくりと実験に取り組み実験の原理に対する理解を深める

浅水 恵理香
植物線虫学研究室

生命科学科 教授

浅水 恵理香

生物観察および、分子生物学や細胞生物学実験に必要な機器が整備された実習室で、植物の観察手法、ウイルスの観察技術、分子生物学や細胞生物学の実験手法、データ解析技術などを学びます。100名を超える実習でも指導が行き届くようにオーディオや実験設備、多数の実験機器が完備されているため、全員が同時に手を動かして実験を行えます。また、複数の助手が配置されており、大人数の実習でもきめ細かな指導が可能。班員が協力しながら実験する姿も見られ、楽しく実験に臨めるのも特長です。基礎的な実験技術から、卒業研究で使用する実験手法の手技や知識まで、幅広く修得できます。

基礎実験室3・4

病原菌の培養や観察を体験し、卒業研究を行う基礎力を育む

平山 喜彦
植物病理学研究室

農学科 講師

平山 喜彦

本施設では、PCRで線虫の種類を調べたり、植物組織や微生物の培養を実施したりします。さらに、植物からのDNA抽出や微生物の遺伝子組み換え操作なども実際に行います。私が担当する実習では、植物の病気を引き起こす病原菌をテーマに、植物病害の診断、病原菌の分離と培養、顕微鏡での観察と同定までを体験。そのために必要な振とう機や恒温器、クリーンベンチ、滅菌を行うオートクレーブ、光学顕微鏡なども完備されています。教員の手元を映すモニターを設置するなど学生の学びやすさにも配慮。本施設で幅広い実習を経験し、卒業研究の土台となる知識と技術を身につけます。

基礎実験室3・4

動物飼育室/処置室

代謝測定装置で、小動物の栄養・運動実験を実施
栄養による成長効率の違いなどを分析する

恒温恒湿かつ衛生的な環境が整った施設で、小動物を用いた栄養実験・運動実験を行います。小動物に異なる飼料を与えて成長効率の違いを調べたり、マウスやラットの呼気を分子レベルで分析する小動物用代謝測定装置を用いて、運動時と安静時のエネルギー消費量や脂肪燃焼量をリアルタイムで測定したりと幅広い実験が行われています。

動物飼育室/処置室

動物飼育室/処置室

小動物実験で得られる測定結果をもとに食品の機能を明らかにする

石原 健吾
運動栄養学研究室

食品栄養学科 教授

石原 健吾

食品の機能を評価する際、ヒトを対象にした場合だと個人差や生活習慣の違いが大きく、その効果が明らかにならない場合もあります。そこで有効なのが小動物実験です。本施設で行う「解剖生理学実験」では、「自分の体は、これまでに食べた栄養素からつくられている」という認識に立ち、タンパク質栄養価に優れた牛乳カゼインと栄養価に劣る小麦グルテン、2種類の飼料をラットに与えて、肥満防止効果や運動能力増強効果にかかる測定を実施。実験結果をもとに、栄養素によって体重増加や飼料効率、成長速度に違いが生まれることを学びます。トレッドミル(ラットが回す回転ベルト)と連結した代謝測定装置では、8匹の小動物の運動時の脂質酸化量やエネルギー消費量をリアルタイムで測定できるなど、機器も充実しています。そのため、スポーツ時の栄養補給に関するサプリメントや、エネルギー補給を目的とした機能性食品の研究開発にも動物飼育室が活用されています。本施設での実験を通じて「ヒトも動物も細胞レベルでの仕組みが共通している」との理解を育みながら、基礎的な栄養学と実践力の両方を身につけ、食と運動について適切なアドバイスを行える人材になってほしいと思います。

動物飼育室/処置室

動物飼育室/処置室

機器分析室

高精度かつ最新の機器の使い方から分析・測定の方法まで、
研究室の枠にとらわれずに修得可能

教員の研究や学生の卒業研究で利用します。農学分野の研究に不可欠な、液体クロマトグラフ質量分析装置やガスクロマトグラフ質量分析装置、自動元素分析装置、ICP発光分析装置、フルオロイメージアナライザーなど、高精度の分析機器を多彩に配備しています。

機器分析室

機器分析室

最新機器を用いて植物ホルモンや植物の二次代謝物質などを分析

塩尻 かおり
化学生態学研究室

生命科学科 教授

塩尻 かおり

農学分野の研究における分析・測定のための最新機器が完備され、教員の研究や、他大学・研究機関との共同研究に利用されます。学生は卒業研究や、修士・博士論文の研究で利用します。誰でも気軽に使用でき、各種機器の使い方や分析方法についても、それぞれの教員から丁寧に教えてもらえるのが特長です。研究室の研究員によって使用する機器が違いますが、気になる機器や、行いたい分析・解析などがあれば、研究室の垣根を越えて教えてもらえる環境です。そのため、分析・解析技術や最新機器の使用法などを実践的に学べます。私の研究室の学生は、例えば、植物ホルモンや植物の二次代謝物質、匂い(揮発性物質)などの分析を行っています。

機器分析室

機器分析室

植物や土に含まれる養分を分析し、作物の生産性を科学的に理解する

大門 弘幸
作物学研究室

農学科 教授

大門 弘幸

ICP発光分析装置や全炭素・全窒素分析装置を利用して、植物や土に含まれる養分や有機物量を分析し、作物の生産と各成分との関係を明らかにします。例えば作物の窒素やリンの吸収量を分析して化学肥料を過剰に使わない環境に優しい生産技術を開発したり、低炭素社会の実現を目的に炭素の農耕地貯留の可能性を探ります。気候変動適応策を考えるうえにもこれらの分析技術の修得は重要であり卒業研究でこれらの装置を利用することができます。作物の生産量や養分吸収量を量的に把握し、そのデータを的確に解析する科学的な思考力と生産現場への実践力を身につけること、すなわち「農を科学する力」を養うために必要な施設です。

機器分析室

低温室

4℃に保たれた部屋で、種子や土壌の保存、
サンプルの調整、低温化での実験を行う

低温室は基本的に4℃に保たれた部屋です。研究や実習で使用される種子の保存や、室温では行えないサンプル(試薬や土壌など)の調整・保存、低温下での実験に利用されます。全部で3部屋あり、それぞれ大きさは約5畳。目的にあわせて使い分けられています。

低温室

低温室

3つの低温室を使い分け、効率的かつ間違いのない研究が可能

山﨑 正幸
応用生化学研究室

食品栄養学科 教授

山﨑 正幸

低温下では、一般的にさまざまな化学反応や生物成長のスピードが遅くなるため、物質の変化や劣化を抑えられます。その性質を利用すべく、室温を4℃に保った施設が低温室です。まさに部屋を丸ごと冷蔵庫にしたような施設といえるでしょう。農学部では、低温室を3部屋設け、目的によって使い分けています。一つは農学部牧農場でとれた作物や土壌のサンプルの保存、一つは種子の保存を行っています。そして、最後の一つでは、生化学的なサンプルの保存、タンパク質の精製といった低温下での実験作業を実施。4℃という室温は、タンパク質の精製を行うために使用するクロマトグラムが、サンプルの状態を安定に保ちつつ、最も性能を発揮できる温度なのです。3部屋あるため、サンプルが混ざる危険性が下がるのはもちろん、異なる温度で使用できる点がメリットです。実際に、種子の保存においては、湿度の上昇を避けるため、通常の4℃ではなく、8℃で温度設定をしています。学生は、卒業研究の際に低温室を活用します。試薬や種子、土壌といったサンプルを保管し、低温で行うべき実験を実施できる環境が身近にあることで、本格的な研究を行えます。

低温室

植物培養室

人工的に制御したさまざまな環境下で植物栽培を行い、
育成条件の最適化などを行う

温度や湿度、光照射時間などをコントロールできる植物培養ユニットを設置した施設です。人工気象ユニットと高機能型人工気象ユニットをあわせて28基以上あるのは全国の大学でも有数の規模です。さまざまな環境下での植物栽培のシミュレーションを行うことができ、人工栽培が難しいとされる植物の育成条件の解明など、実際に成果をあげている研究も多数あります。

植物培養室

植物培養室

全国でも有数の規模の施設で、実験者として基本姿勢を育む

古本 強
環境生理学研究室

生命科学科 教授

古本 強

農学部の各研究室で実施される卒業研究などのための植物や昆虫の育成と実験に使用します。遺伝子組み換え植物を育てることも可能です。温度や湿度などを調節して実験に必要な環境を自由につくり出せる人工気象ユニットが25基あり、高輝度の光を必要とするイネなどの育成のための高機能型人工気象ユニットも3基完備。大学としてこれほどの規模で施設があるのは、全国的にも少なく、西日本では唯一ともいわれています。植物の育て方のほか、各教員が対象とする植物の光量や温度などの物理的環境の変動への応答、食害昆虫や病原微生物などの生物的な応答の様子を研究しています。まさに先端研究を支えている施設といえるでしょう。学生は、実験材料を丁寧に準備したり、遺伝子組み換え施設としての厳格なルールを守って利用するなかで、実験者としての基本姿勢を養えます。また、日々の植物の成長をみることで、ちょっとした変化を見逃さない観察力が鍛えられます。観察力は、問題解決の糸口を探るための重要な力です。研究はもちろん、社会に出ていろいろな問題点に対応する際に、状況や対象を正しく見極めるために活用できる力です。

植物培養室

植物培養室

ヒト代謝実験室

栄養摂取や身体活動の多彩な測定を経験し、
食と運動の適切なアドバイスができる管理栄養士へと成長

ヒトの生活環境をそのままに再現したエリアと各種測定機器を備えたエリアを完備。恒温恒湿の室内には、キッチン・運動装置・シャワー・ベッドが配置され、代謝活動によるエネルギー消費を、実際の生活に限りなく近い形で計測できます。さまざまな献立を調理・提供して代謝活動の変化を調べたり、アスリートのパフォーマンス測定を行ったりします。

ヒト代謝実験室

ヒト代謝実験室

自らの体の測定をとおして、基礎的な栄養学と実践力を養う

石原 健吾
運動栄養学研究室

食品栄養学科 教授

石原 健吾

高精度体脂肪測定装置や体成分分析装置、無酸素パワー測定装置など各種測定器を完備。ヒトの身体組成や栄養素摂取量に関する測定、最大酸素摂取量や安静時代謝量の測定などが行えます。特長は、本格的なキッチンスペースを有し、調理した食事を提供した後の代謝測定を行える点です。食がヒトの代謝におよぼす影響を測定するうえで理想的な環境が整っています。ヒト代謝実験室で行う授業の一つが「基礎栄養学実習」。学生自身が、筋肉量や体脂肪量、内臓脂肪量、貧血の指標となるヘモグロビン量、緑黄色野菜の摂取量の指標となる皮膚カロテノイド量などを自ら測定。また、複数の方法で食事調査も行い、エネルギーや栄養素の摂取量を測り、同時に、運動やエネルギー消費についても測定します。その結果から、望ましい体をつくるための栄養と運動について実践的に学修します。ヒト代謝実験室ではその他にも、自転車競技や陸上競技、クロスカントリーといったスポーツを行う選手の筋肉量・体脂肪量やパフォーマンスを測定したり、自転車エルゴメーターを用いて、スポーツ時の栄養補給に関するサプリメント開発に取り組んでいます。

ヒト代謝実験室

ヒト代謝実験室

P2実験室

国際基準P2レベルの物理的封じ込めが可能で
遺伝子組み換え実験も安全かつ適切に行える

実験生物の室外への漏出を防ぐため、国際基準P2レベルの物理的封じ込めができるよう設計された実験室です。植物や微生物を対象とした遺伝子組み換えや分子・細胞生物学に関わる研究のための機材も揃っています。生命分子や細胞機能に関する研究手法の修得や、環境問題や食料問題、エネルギー問題に貢献する応用生物学研究の場として活用されます。

P2実験室

P2実験室

微生物や培養細胞の研究をとおし無菌操作などの実験の基礎力を高める

島 純
微生物科学研究室

生命科学科 教授

島 純

P2実験室では、実験生物が外部に流出しないように高レベルの封じ込めが必要となる遺伝子組み換え実験が行えます。実験者にとっても環境にとっても安全な実験ができるように細部まで優れた設計が施されており、遺伝子組み換えや分子・細胞生物学に関わる研究のための設備や機材も豊富に揃っています。そのため、教員や大学院生の実験・研究にも使用されています。学生は、微生物の植え継ぎや培養をはじめとして、主に卒業研究に向けた実験を行います。その実験をとおして、微生物や培養細胞を扱ううえで必要となる無菌操作(他の雑菌が混じり込まないようにする実験操作)を学修。何度も繰り返し行うことで、手順やコツを体でも覚えていきます。また、微生物がどのように増えていくのか、どのような環境で増えていくのかなどについても体験的に学べます。加えて、高度な実験を体験したり、触れたりすることで、遺伝子工学やゲノム編集といった新しい技術についての知見も広がります。ここで得た学びが、人類の生存に関わる「生命」「食料」「環境」について考える力や、それを応用していく力を養う基礎となります。

P2実験室

P2実験室

顕微鏡室

最先端の顕微鏡や特殊な顕微鏡に触れ、
生物学の基本となる「観察」の基礎や原理を学ぶ

倒立顕微鏡、蛍光顕微鏡、高解像ズーム顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡といった各種顕微鏡や、生体組織を薄く切るマイクロスライサー、タンパク質の構造を解析するX線結晶構造解析装置などを完備。植物組織や微生物、細胞内の小器官や染色体まで多彩な観察が可能です。

顕微鏡室

顕微鏡室

多彩な顕微鏡での観察をとおして生命に関する理解を深める

別役 重之
多細胞動態研究室

生命科学科 准教授

別役 重之

実体顕微鏡から共焦点顕微鏡まで最新機種を完備した施設で、生物物理学実習や、卒業研究など各研究室での研究活動を行います。生物物理学実習では蛍光・共焦点顕微鏡を用いた蛍光イメージングの原理と実践を学修します。各研究室では、より実践的に植物や病害虫、細菌や酵母といった微生物、ヒトの培養細胞など多彩な試料を、目的にあわせた多彩な手法で観察します。一つの試料を異なる顕微鏡で観察することで新たな気づきがあり、生命に対する理解と探究心が深められます。また、共焦点顕微鏡を従来より高速・高解像度のものにするなど、機器を常にアップグレードしています。

顕微鏡室

X線結晶構造解析装置を用いてタンパク質の構造・機能の研究を行う

桝田 哲哉
食品化学研究室

食品栄養学科 教授

桝田 哲哉

タンパク質の立体構造を原子レベルで決定するX線結晶構造解析装置を、農学部として完備しているのが本学の特長です。学生は、タンパク質の結晶の生成からX線による測定、測定データを用いての構造決定まで、研究の入口から出口まですべてを体験。繊細な結晶の取扱い方や最適なデータ取得の方法など、X線結晶構造解析に関わるさまざまな技術と知識を、実習をとおして身につけることができます。そして、新規食品素材の開発や創薬をはじめ無限の可能性を持つタンパク質の研究に触れながら、「ミクロな眼」で生命現象を化学的に理解し、思考力を深めてほしいと考えています。

顕微鏡室

クラスター実験室

2つの研究室が共同で実験室を使うことで、
実験・研究の幅広い手法や考え方を学べる

教員や学生が自らの専門分野の研究を行う実験室で全18室あります。2つの研究室が共同で使用しています。マイクロピペッターや遠心機、PCR装置をはじめ各研究のための設備・機器が完備され、学生は専門的な実験・研究手法を学修し、卒業研究を完成させます。

クラスター実験室

クラスター実験室

植物のDNA・遺伝子ついて実験・解析しながら研究手法を身につける

永野 惇
情報生物学研究室

生命科学科 教授

永野 惇

一般的な実験機器に加え、各実験のための特別な設備や機材も用意しています。例えば、私たちが行う植物のDNA・遺伝子の研究では、次世代シーケンサーやディープラーニング用計算機、自動分注を行うロボット、メーカーと共同開発した独自のインキュベーターなどを使用。学生はそれらの機器に実際に触れ、遺伝子組み換えやDNAのデータ解析を行いながら、専門的な研究の方法を学びます。クラスター実験室の特長は、2つの研究室が共同で使用する点。実験室の垣根を越えた交流ができ、自分たち以外の実験手法なども身近で感じられるため、研究者としての素養が高められます。

クラスター実験室

クラスター実験室

地道かつ工夫を凝らす分析・解析で「見えないもの」を見る力を養う

森泉 美穂子
土壌学研究室

農学科 教授

森泉 美穂子

土壌学研究室の学生は、クラスター実験室の化学発光分析計やTOC計、分光光度計などを用いた土壌の化学分析を軸に卒業研究をすすめます。土壌の本質という目には見えないものを見るために、分析データの解析方法や活用法を学ぶのはもちろん、研究に必要な測定装置を工夫して自作したり、効率化を図るべく機器の改善を行ったりもします。最近もみんなで団粒分析器の自動化に成功しました。このように、時には数百点を超えるサンプルの分析作業や、研究に対する創意工夫をとおして、実験の基礎力と精神力を育みます。また、学生同士で協力して研究をすすめるなかで絆と思い出が生まれる場所でもあります。

クラスター実験室

研究用ガラス温室

研究室のすぐ近くにあり、
1年をとおして研究用植物の世話や観察、実験を行える

9号館のすぐそばにある全5棟のガラス温室です。気温や天候によって天窓や遮光ネット、壁の窓ガラスが自動で開閉する仕組みが整っています。加温機能を備えた棟もあり、熱帯性の植物なども栽培が可能。1年をとおして、植物や野菜などの研究材料を活用できます。

研究用ガラス温室

研究用ガラス温室

日々の世話や観察をとおして、五感で学びながら卒業研究をすすめる

岩堀 英晶
応用線虫学研究室

農学科 教授

岩堀 英晶

卒業研究を行うために必要な植物や野菜、果実、花などを育成するための施設です。加温機能も備え、低温に弱い植物なども栽培可能。1年を通じて安定的かつ大量に研究材料を得られ、研究を円滑にすすめられます。研究室から徒歩ですぐの場所にあり、世話や観察、データ収集を日々行える点も特長です。また、温室へ続く階段横にはブドウやミカン、カキなどの木が植えられ、果樹の成長を身近で観察できるよう設計されています。私の研究室では何百鉢ものトマトやナスを研究用ガラス温室で育成し、それぞれの根に線虫を入れて観察。線虫被害に強い抵抗性品種を見つけ出す研究を実施しています。研究用ガラス温室は学部での共同利用で、交配や接ぎ木による新しい品種の栽培法を開発したり、害虫を近づけた際にバラの葉から出る気体成分の分析を行ったり、さまざまな研究が同時に行われています。所属する研究室以外の研究にも触れられ、多彩な植物・野菜の育成方法や生育過程、実験の手法・考え方を実際に見て学べます。実験用に育てたトマトやイチゴ、トウガラシなどを食べることもあります。五感をフルに使った学修で、農や食に関わる幅広い知識を身につけることができます。

研究用ガラス温室

研究用ガラス温室

研究用ガラス温室


農学部パンフレット 学びの環境
デジタルライブラリー

デジタルパンフレットも併せてご参照ください。

Request Information

資料請求