
ようこそ龍谷大学農学部へ。学部長の山﨑正幸です。
農学部は、2015年に開設された新しい学部であり、この3月で、10年という一つの区切りを迎えました。これから始まる10年を新しいステージと捉え、どう歩んで行こうかとワクワクしています。一緒に楽しい農学部を作りあげましょう。
龍谷大学農学部の魅力は、「食」と「農」の大切さを、「いのち」の観点から打ち出す、多様な学びのかたちにあります。「食」なしに、我々は、生きることはできません。「食」のための材料を、巧みな知恵を駆使して生産するのは「農」です。「食」と「農」の根底からは、「生命」の不思議さや奥深さを感じ取ることができます。その上で、変わり続ける「食」と「農」のあり方を、人間社会の「システム」に落とし込み、無駄なく効率よく、持続的に付きあっていく必要があります。
これらすべてを大きな視点で捉え、循環させることが、今の時代ならではの農学部の学びであり、面白いと考えています。振り返ってみれば私は、みなさんと同じくらいの歳の時に、「食と農について学んでいけば、一生飽きることはないやろう。」と腹を括った覚えがあります。多分それは正解で、「食」と「農」の学びは、時代を超えて、かたちを変えながら無限に生まれます。「いのち」のあり方と、リンクした学びではないでしょうか。
未来に目を向けましょう。100年に一度あるかというコロナ禍を、我々は、なんとか切り抜けました。その過程では、急速に衰退した価値観がある一方で、急速に醸成された価値観もあるように思います。世の中は明らかに変わりました。一つの時代の区切りです。学びに関しても、龍谷大学農学部レベルの学びではなく、世の中全体の学びのかたちについて、変化が求められています。変わるべき部分は積極的に変えるべきであり、今は、その変革の過渡期にあると考えます。
我々の今後の動きにご注目ください。私個人のゴールは、「食」と「幸せ」をつなぐ糸を紡ぐことにありますが、それと同時に、農学部の本丸とすべき仕事は何であるかを見極め、学部運営を推進していきます。
大学生活は、人間力を磨き、社会へ出る準備をする場です。学問だけをやっていて成功するのは、ほんの一部の人間だけです。これまでになく与えられる自由な時間と選択肢を、最大限に活用すべきです。無駄や失敗があっても全く問題はありません。その経験が、その後の人生の糧になります。「得意なことをより伸ばす」、「挑戦する意味を見出す」、「ブレない心と優しさをもつ」、これらは、人生を太く生きるために何よりも重要なことであると、私は考えています。覚えておくべきは、時間は有限であり、決して戻らないことです。意味があることにも、無駄なことにも、ご自身の時間を精一杯使って、有意義な4年間としてください。そして、「食」と「農」について考え、語ることのできる人間になってください。僕たちにできるのは、そのお手伝いに過ぎません。
農学部長 山﨑 正幸