われわれの食が抱える問題を理解するためには、農業生産だけでなく食品製造(加工)・流通・消費の一連の流れとその論理を学ぶことが不可欠です。こうした「農場から食卓まで」の流れのことを、フードシステムと呼びます。フードシステムの各段階で「よかれと思って」行われていることが、必ずしもシステム全体として消費者や生産者の利益になっているとは限りません。一方で、フードシステム各段階の行動論理を理解しなければ、システム全体の利益を論じても絵に描いた餅に終わってしまうでしょう。このゼミでは、フードシステムへの接近方法について学びながら、実際に特定の食品の生産・流通・消費の流れをとらえてそこでの課題を整理し、何らかの展望や提言をまとめることを最終的な到達目標とします。卒業研究にフィールドワークは必須ではありませんが、ゼミとして卸売市場などフードシステム各段階の現場の論理に触れる機会をできるだけたくさん持ちたいと考えています。