今,地球温暖化,干ばつ,塩類集積,豪雨といった様々なストレス下で農作物が生産されており,食糧の安定供給が地球規模で厳しい状況になっています.私たちは,周辺環境への負荷を抑えて,化石エネルギーの投入量を少なくした持続的な作物生産体系の確立を目指し,その基盤となる様々な農作物の研究にとり組んでいます.例えば,ダイズ,アズキ,ラッカセイといったマメ科植物の特性評価の研究もその一つです.熱帯,亜熱帯地域の比較的粗放的な作物生産体系での種々のマメ科作物の栽培は,これらの地域における農業生産の根幹をなすものです.また,日本をはじめとする比較的安価な化学肥料に依存した集約的な農業生産においても,省資源,環境保全の側面から,マメ科作物の効率的な導入について検討されなければなりません.また,レンゲやクローバのような肥料として利用できる「緑肥」作物の研究や,穀類とマメ類をいっしょに栽培する「混作」の研究も進めています.どのような農作物も1個体では育っておらず,必ず個体群として生きています.したがって,実際の畑での作物のパフォーマンスを個体だけでなく集団として見る目が必要です.この作物はなぜそのようにふるまうのか,「フィールドとラボの両方で解析」していくという姿勢を学んでもらいたいと考えています.