地球規模で増え続ける人口に対して,安全な食料を安定して供給するためには,農耕地を持続的に利用するシステムを構築しなければなりません.人間をはじめとする動物の命は,大気中のCO2を光合成によって有機物に変換できる植物に依存しています.この緑(Green)の持続可能性(Sustainability)こそが,多様な学問分野に共通する視点です.私たちは,作物栽培学の面からこの課題解決に取り組んでいます.例えば,温暖化ガスであるCH4やN2Oの排出量の変動を水田輪作の中で解析しています.また,根粒菌との共生窒素固定能を持つダイズやアズキなどのマメ科作物は,窒素肥料削減に大きな役割を果たすことから,穀類と豆類をいっしょに栽培する混作の研究も進めています.レンゲやクローバを利用した緑肥農業の可能性も探っています.これらは,有機農業(オーガニック,ビオ,生態農業)の技術開発にも必要な地力維持に関する研究です.研究遂行には,作物のパフォーマンスを個体だけでなく集団として見る目も必要です.この作物はなぜそのようにふるまうのか,「フィールドとラボの両方で解析」していく姿勢で学んでもらいたいと考えています.