- 教員氏名
- 渡邊 洋之(わたなべ ひろゆき)准教授
- 学位
- 博士(農学)
- 学歴
- 京都大・院・農学
- 専門分野
- 環境史、環境社会学
イヌやネコは家族のように扱う。一方ウシもブタも食用とする。このような、それぞれの生物種と「日本人」との今日の関係は、あたりまえのものとされています。しかし、現時点におけるこの関係を、当然視し固定的に考えてよいものなのでしょうか。
例えば、捕鯨をめぐる報道などでは、「日本人は欧米の人々と違い古くからクジラを食べてきた」と、しばしば言われています。しかし実際には、日本では20世紀半ばごろまで、クジラを捕らない・食べない地域があったどころか、捕鯨に反対して暴動を起こしたケースもありました。
また現在の日本では、農業や生態系そして人間に直接被害が及ぶということで、マングースやブルーギルなど外から持ち込まれた生き物は、駆除するのが基本であり、よってそれらは大変嫌われていると思われます。しかしこの事例でも実際のところ、1980年代ごろまで、上記の2種もそうなのですが、害虫・害獣駆除や養殖などに有用と考えられた生き物は、外国から積極的に日本へ導入されていました。
さて今日、生き物と人間の関係には、乱獲だけでなく様々な問題が生じています。そして、現時点における関係を当然視し「正しい」と考えることは、これらの問題の要因であるこの関係の変化を、見えにくくしまいがちです。私が行っているのは、このような、生き物と人間の関係の歴史的変化をあきらかにして、様々な問題の解決のヒントを提供していくことなのです。