- 教員氏名
- 竹中 祥太朗(たけなか しょうたろう) 講師
- 学位
- 博士(農学)
- 学歴
- 京都大・院・農学
- 専門分野
- 遺伝育種科学
本龍谷大学農学部のある滋賀県でもコムギ畑を見かけますが,そこで栽培されているコムギは全て近代品種です。近代品種とは,20世紀後半以降の育種(品種改良)によって作り出された品種のことです。世界中で栽培されている大部分のコムギも近代品種です。近代品種は多収で病気にも強いですが,限られた共通の祖先品種の交配に由来することが多く,遺伝的な多様性が低いです。一方,近代品種ができる前から栽培されていた品種を在来品種と呼びます。在来品種は多様なコムギの中から,各栽培地の気候・風土・文化に適合するものが長い歴史の中で選ばれて成立しました。そのため,在来品種は遺伝的に多様性で,近代品種にはない形質を持った変わりものがたくさんあります(図1の多様なコムギの穂を見てください)。各栽培地に適応して進化してきた在来品種の多くは,近代品種の普及に従い急速に失われています。私はコムギの遺伝的な多様性を評価し,遺伝資源としての利用について研究しています。在来品種はたんなる変わりものではなく,重要な遺伝資源なのです。現在,地球環境の変化にともなう干害・塩害・湿害などで耕作不良地域が増大しています。私は様々な遺伝資源から近代品種がもっていない遺伝子を導入することで,厳しい環境下でも栽培可能なコムギの育成に取り組んでいきたいと考えています。