- 教員氏名
- 尾形 凡生(おがた つねお) 教授
- 学位
- 博士(農学)
- 学歴
- 京都大・院・農学
- 専門分野
- 果樹園芸学
種子のない果物は、食べやすいですから消費者に好まれます。私の研究テーマのひとつは、種なし果実をいかにして成らせるかです。これは言うほど簡単なことではなくて、果実を無種子にすること自体は容易にできますが(簡単です。花に袋を掛けて受粉させなければよい。)、母樹が果実中に種子が入っていないことに気づくと、育てても養水分の無駄ですから、幼果のうちにそういう果実を切り捨ててしまうのです。こういうのを生理落果と言います。母樹に種子が入っていないことに気づかせない、あるいは、種子はちゃんと育っていますよ~と母樹をだまして生理落果させない。こうしたことを可能にする方法が見つかれば、種なし果実が手に入ります。自然界で発生した変異によって無核果実を成らせる果樹もそこそこあるので、無種子なのに生理落果が起きないメカニズムを調べて応用をはかったりもします。写真は、種子の多い柑橘であるブンタンでの無核化に成功したときのものです。弱いX線でダメージを与えた花粉を受粉すると、種子が退化して種なしになります。但し、母樹が途中で種子がいないことに気づくらしく、果実の太りが悪くなるのです。まだまだ乗り越えるべき壁は多い。次こそは! 試行錯誤の科学である実践的技術開発のおもしろさだと思います。