- 教員氏名
- 古本 強(ふるもと つよし) 教授
- 学位
- 博士(農学)
- 学歴
- 京都大・院・農学
- 専門分野
- 植物分子・生理科学
光合成は高校生物の教科書には必ず記載されるほどよく理解された研究分野です。一方で、わかっているつもりになっているだけで実は全く分かっていないこともあります。
たとえば、光合成には、「光」・「水」・「二酸化炭素」が必要ですが、これらはいつも潤沢にあるわけではありません。雨が降らなければ、水不足なり、乾燥しすぎれば気孔を閉じるので二酸化炭素不足になります。太陽光は、雲などの影響でランダムに変動します。こうした環境変動に対して、植物は「耐える」能力(適応する能力)を発達させています。
私は、これらの環境変動のなかでも、雲の影響について研究しています。とくに、光の要求性が異なるC3植物とC4植物(図1)の光合成の特徴を比較しながら、実験を進めています。C4光合成は、高校の生物では「発展」で触れる程度でしょうが、ひどい被害を出す世界の雑草ベスト10のうちのトップ8つまでがこのC4光合成を行うなど、農業上問題になる性質です。C4植物では、弱い光から強い光に変化すると、60秒以内に光量に応じた光合成活性を示します。この「わずか60秒の間に適切に代謝を調節するメカニズム」について、ほとんどわかっていません。この急に変わる光量に対して植物がどのように応答しようとしているのかを調べるなかで、スイッチのように働く新しいタンパク質をみつけました。このタンパク質が壊れていると、適切な活性にまで活性を上昇させられないことがわかりました(図2)。
今は、このスイッチタンパク質の作動する機構を調べています。