おいしいダシを飲むとリラックスした気分になるなど、食の精神面に対する影響は経験的にも知られています。我々の研究室では、こうした気分の変化を検出し数値化するために、客観的指標と主観的指標を組み合わせた方法を用いて、飲料や食品がヒトの気分状態に及ぼす効果について検討を行っています。自律神経活動は気分状態と深いかかわりがあることが知られていることから、客観的指標として心拍変動測定による自律神経活動評価を用います。また、主観的な気分の変化は、短期の気分状態変化(気分転換など)を評価できるよう改良されたアンケートによって調査します。こうした手法を用いて、市販の飲料だけでなく、食品の成分(香り+味、香りのみなど)や複合的な要素の多い料理など、さまざまな食が私たちの気分状態をどのように変化させるのか、検討を重ねています。なにかを食べたり飲んだりして、気分転換やリラックスすることは、日常的に私たちが利用している実は一番身近な食の機能性であるかもしれません。気分を効果的に調節できるようになれば、こころの健康を維持・増進する上でも大変有効な手段になると考えています。