ヒトは様々な部位において多くの種類の微生物と共生をしています。ヒトの腸管も例外ではなく、腸管内では数百種類にも及ぶ腸内細菌が棲息しており、ヒトの健康と密接に関連しています。そのため、腸内細菌とヒトの共生系が如何にして構築されているのかを分子レベルで理解することはとても重要といえますが、この共生系を支える分子メカニズムはまだ不明な部分が多く残されています。
そこで当研究室では、ヒトの健康に有用なビフィズス菌を含む種々の腸内細菌がヒトとの共生系を如何にして築いているのかを分子レベルで理解することを目指しています。例えば、共生に重要と考えられている「ヒトが摂取する食事成分」について、腸内細菌がどのようにして栄養源として利用しているのか、またどのようにして有用な物質へと変換しているのかを解明するための研究を行っています。加えて、腸内細菌とヒトの共生のみならず、腸内細菌同士の共生に着目した研究も展開しています。当研究室は、主な解析アプローチとして腸内細菌の遺伝学的解析を行いますが、それに加えて、生化学や生態学的な解析なども行うことで、極めて複雑な生命現象である“腸内細菌とヒトの共生”を多角的な視点から紐解くことに挑みたいと考えています。