教員の専門分野は「雑草学」ですが、作物から野生植物まで、田畑やそのまわりの「農業生態系」に生育する植物の生態を幅広く研究しています。田畑の雑草は作物に大きな害をもたらしますから、少ない労力でうまく防除するしくみを考えなければなりません。農業用のため池に人知れず絶滅危惧種が生えていることもありますし、逆に「特定外来生物」が大繁殖することもあります。さらに、身近な雑草の中にもじつはすごくおいしくて、商品開発の可能性がある「遺伝資源」もあります。
私たちの研究室のメンバーは、実験室にはこもらず、常に野外に足を運んで、頭と体を動かしながら、植物とのつきあい方の経験値を積み上げています。実験農場は丘陵地にある瀬田キャンパスから山を下りたところにあり、農場の背後は里山につながっています。昨年、栽培試験していたイネが、収穫直前にイノシシの襲撃を受けて壊滅したことから、今年は「獣害の防ぎ方」も研究テーマに加わりました。
担当教員はほんとうは図書館で古い農書や古典に出てくる植物を調べるのも好きなのですが、その方面の同志はまだ現れていません。