バイオテクノロジーの発展に伴って様々な育種技術が開発され、これまでにない形質を持つ植物が創り出されるようになりました。私たちはこれまでに、ビタミンA欠乏症の改善を目的に果実にβ-カロテンを蓄積させた組換えナスを作出したり、リンドウの毛状根から植物体を再生させてポット栽培に適した矮性リンドウを作出するなどの試みを行ってきました。一方リンドウやレタスでは、植物の遺伝子組換えで広く用いられる35Sプロモーターを導入すると、DNAメチル化が生じて転写が抑制される現象を発見しました。このような現象の解明は、組換え植物開発の妨げとなる問題の解決につながると考えています。本研究室では、これまでの知見を活かして様々な植物で新しい育種技術を適用し、持続可能な社会の実現への貢献を目指します。
また、私たちは植物の分化した組織で様々な倍数性の細胞が混在するpolysomaty(体細胞多倍数性)という現象に興味を持ち、研究を進めています。この現象は、穀物の胚乳やトマトの果実など食物となる器官にもみられるので、現象のメカニズムや生理的意義を解明することにより増収やバイオマス増産への貢献が期待されます。