植物がいかに病原体感染から身を守っているのか、また、病原体がどのようにしてその植物の免疫を撹乱して感染を成功させているのか。こういった研究は、我々が食料とする農作物を守るためにとても大切な研究であり、国内外で盛んに行われています。しかし、多細胞からなる植物組織の細胞一つ一つが免疫応答時にどのようにそれぞれの役割を果たしているのか、といったことはほとんど知られていません。一方、病原細菌は感染時には多数の菌からなる集合体となっていますが、一つ一つの細菌が全く同じ機能を果たしているのか、それとも何らかの個性があるのかどうかもよくわかっていません。
そこで、当研究室では、顕微鏡などを用いて各細胞の【個性】に着目した植物ー微生物相互作用研究を行っています。未知の現象を明らかにするためには、新しい技術のみならず、正しい基礎知識に基づく科学的・論理的な思考力が重要です(理系卒に期待される能力です)。そのような能力は一朝一夕には身につきませんが、研究室で関連論文を読んで議論したり、各自の興味を生かして決めた研究テーマに取り組んで試行錯誤することで養うことができるものです。そんな日々の研究活動の成果が、ひょんなことから新たな農作物の病害防除法につながるかもしれません。