植物は、土壌中の生物と密接に関わり合いながら生きています。その関わりの場となるのが根です。土壌生物の中には、根の内部に侵入して定着(定住)するものがあり、ネコブセンチュウもその一つです。ネコブセンチュウは、世界的に農作物に大きな被害を与えており、国内でも問題となっています。主に、殺線虫剤や土壌燻蒸剤を用いる化学的防除が行われており、環境への悪影響が問題となっています。安全で持続的な生物的防除方法の確立は、取り組むべき重要な課題です。
私たちの研究室では、ネコブセンチュウが様々な植物種に感染(寄生)するために、どのように植物のもつ免疫を抑えているのか、という大きな謎に取り組んでいます。感染能力の異なる多数のサツマイモネコブセンチュウ系統を用いて、実験を行なっています。これらの系統のもつ遺伝子の違いを調べることで、感染能力の差をもたらす遺伝子を明らかにし、宿主植物との相互作用メカニズムの理解、更には農業の現場への応用に展開したいと考えています。