Need Help?

Faculty of Agriculture

農学部

食料農業システム学科

食料農業システム学科

食と農と地域社会をつなぐ社会科学

「食」と「農」に関わる自然科学的知識を基盤としながら、国内外の社会問題・経済問題に取り組む能力を養います。農業技術や食に関わる自然科学的な基礎知識を学んだ上で、経済学、経営学、会計学、社会学などの社会科学系科目を中心に学びます。調査実習等を通じて、農業や食産業の現場を訪れ、実態を把握する力を身につけます。講義と実習で得た知識を活かし、食や農の課題を「社会や経済のしくみの問題」としてとらえ、その解決策を探究できる人材を育成します。

プロジェクト・研究室紹介

資源循環モデルの構築

「里山」を資源循環の最前線へ
経済と保全を両立し、持続可能な未来の基盤を築く

嶋田 大作准教授

嶋田 大作准教授

食料農業システム学科

[専門分野]環境経済・政策学、地域農業経済学、自然資源管理、コモンズ研究

里山の恵みを現代に再生し 持続可能な社会の担い手を育成する

日本の里山は長年にわたって、燃料や堆肥、屋根を葺くための茅、食料など、人々の暮らしに不可欠な資源を供給する循環の拠点として機能してきました。しかし、高度経済成長期以降の燃料革命やライフスタイルの変化により、人が十分に管理できなくなった結果、全国で里山の荒廃が進んでいます。これは景観の悪化に留まらず、生物多様性の低下や土砂災害リスクの高まり、獣害の増加といった深刻な社会課題を招いています。この現状を打破するには、里山の資源を現代の経済システムの中に再び組み込む「新たな物質循環モデル」の構築が不可欠です。この取り組みでは、地域資源の価値を経済的・社会的な視点から再定義し、自然の恩恵を次世代へとつなぐための実践的な知について学びます。里山という「生きた教材」を通じて複雑に絡み合う環境問題と向き合い、持続可能な社会を構想する力を養います。

キャンパスに隣接する「龍谷の森」で未利用資源を価値に変える

学びの舞台は、びわ湖大津キャンパス(現:瀬田キャンパス)に隣接して広がる「龍谷の森」です。学生は教室を飛び出し、ボランティア団体「『龍谷の森』里山保全の会」の方々とともに、学部や学科の枠を超えて森の管理に取り組みます。とくに、保全活動のプロセスで生じる未利用資源を徹底的に活用することに力を入れています。間伐された樹木を加工して温もりのある木工製品を製作したり、大量の落ち葉を時間をかけて高品質な堆肥へと変え、近隣の農地に還元します。さらに間伐材から薪をつくって木質バイオエネルギーに変えたり、ウッドチップを作って花壇に敷き、雑草を抑制したりします。このように、廃棄されるはずだった素材を価値ある資源へと転換する方法を、五感をつかって体験します。森の景観や土壌の匂い、木を伐る手応えを感じながら、循環のプロセスを身体知として育む。この現場体験こそが、地球規模の資源問題を自分ごととしてとらえる原点となるのです。

経済と保全を社会システムで統合し 価値あるしくみを創造する

この取り組みの核となるのは、フィールドでの実践を学術的な理論へと昇華させる「現場主義の環境経済学」です。里山を持続的に保全していくには、地域の人々の経済や暮らしにとって価値あるしくみとして資源循環を成立させる必要があります。学生たちは、資源がどのように流通し、誰のニーズを満たし、社会をどのように豊かにするのかという価値の連鎖を分析します。例えば、里山由来の堆肥が農作物の付加価値をどう高めるのか、あるいは森林資源の活用が地域のエネルギー自給率にどう貢献するのか。調査研究を通じて、資源活用の障壁となっている制度的・経済的な課題を浮き彫りにし、持続可能な社会システムとしての物質循環モデルを構想します。科学的なデータと社会的な洞察を融合させ、エビデンスにもとづいて多角的な解決策を導き出す。このプロセスを通じて、実践的な知を磨いていきます。

森林資源への理解を深め 地域の未来を牽引するリーダーに

「龍谷の森」での活動をとおして学生たちには、深い洞察力を身につけ、身近な自然の中に眠る「見えない価値」を見出してほしいと考えています。また、里山の資源循環を考える過程では、住民、行政、企業など、立場や価値観の異なる多様な主体と関わり、合意を形成していくことが求められます。それは決して楽な道のりではありませんが、達成したときのよろこびは大きなものです。学生が将来どのような分野に進んだとしても、その経験は大きな財産となるはずです。里山の荒廃という社会課題を、自分の知恵と行動によって新しいビジネスや豊かさを生むチャンスへと転換できる、教室での理論をフィールドで試して地域社会に新しい価値を創造できる、主体的なリーダーへと成長してくれることを期待しています。里山というフィールドから環境と経済が調和する理想の循環を描き出し、持続可能な未来への種を蒔いていきましょう。

SEE MORE


Laboratories 研究室紹介

食料農業システム学科 食・農資源経済学研究室

田原 宇央さん

限界集落の活性化

限界集落で6次産業化に挑み
理論と現実のギャップを埋める

田原 宇央さん

食料農業システム学科 4年生(大阪府 大阪緑涼高等学校 出身)

滋賀県高島市の限界集落で、ジャガイモの栽培から加工・販売まで一貫して行う「6次産業化」の実践プロジェクトに取り組んでいます。計画を立てて臨んだものの、収穫したジャガイモの一部を管理不足で腐らせたり、学園祭当日に商品の加工機械が故障したりと、想定外の連続でした。新商品の米粉肉まんの販売では、需要予測を見誤り大量の在庫を抱える苦い経験もしました。机上の学びも重要ですが、知識だけでは予測不能なトラブルを解決できません。失敗の要因を徹底的に分析し、販売戦略を練り直すことが大切です。県庁での販売会では、お客さまのリアルな声に耳を傾け、このプロジェクトの意義を再確認しました。試行錯誤を繰り返し、理論と現実のギャップを埋める生きた知識、自ら動いて課題を解決する主体的な行動力が身についたと感じています。

食料農業システム学科 環境経済学研究室

畑内 こゆきさん

持続可能な食のあり方

理論を実践に落とし込み
経済価値の本質に迫る

畑内 こゆきさん

食料農業システム学科 3年生(北海道 札幌稲雲高等学校 出身)

「SDGs×日本酒」をテーマに、日本酒の海外輸出戦略や地域ブランド化について研究しています。きっかけは、香港のフードエキスポでのインターンシップとラオスでの現地調査でした。異なる食文化や経済背景をもつ市場において、単なる「モノ」の輸出では通用しない現実や、表面的にとらえられがちなSDGsの実装の難しさを痛感しました。こうした課題を経済学の視点で解き明かしたく、京都の酒蔵で造り手の思いや地域固有のストーリーを調査しています。現場での気づきをマーケティング理論と照らし合わせることで、文化的背景こそがグローバル市場での競争力になる「経済価値の本質」を理解しました。物事を多面的にとらえ、理論と現場を行き来しながら社会課題の解決策を探った経験は、将来どんな分野に進んでも、大きな強みになると信じています。

[その他の研究室テーマ]

  • 産物直売所と地域農業の発展
  • 琵琶湖域におけるビワマスの漁業と食文化―その継承と展開―
  • 小売チェーン企業におけるグローサラント業態導入のメリット
  • 里山と農業のつながりを取り戻す取り組み
  • 日本における有機農業発展の可能性と課題
  • フードシステム各段階における食品ロス発生の現状と対策
  • 集落営農を中心とした地域農業の維持・展開方策に関する研究
  • 食品の廃棄とリサイクル

Request Information

資料請求