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Graduate School of Agriculture

農学研究科

大学院生の活躍

Vol.1 農学研究科 修士課程 久米 美春 さん

農学研究科で様々な活動や活躍をしている大学院生を紹介します。
なお、所属等は、取材当時のものです。

久米さんは、幼少期からの料理への情熱をきっかけにメニュー開発の道へ進み、大学時代に給食レシピの開発を通じて本格的に取り組み、多くの企業や自治体とコラボレーションを実現。喫食者の喜びを最優先に考え、常に創意工夫を凝らす姿勢が高く評価されています。さらに、海外の食文化を学びつつ、新たな視点で食の可能性を探求し、実践を重ねています。

メニュー開発に携わることになったきっかけは何ですか?

幼い頃から料理が好きで、母の手伝いをよくしていました。中高生の頃は学校から早く帰ってきた日や、休日は母に代わって夜ご飯を作っていました。家にある材料で、献立を考えることが好きでした。食材同士の組み合わせだったり、調理様式を考えることだったりが今思い返すとその頃から苦ではなかったなと感じます。

そんな私が本格的にレシピ開発に携わったのは、大学4回生の時でした。
給食経営管理学研究室のゼミ活動の一環として大津市様と行った、学校給食のレシピを考えることでした。そこから本格的にレシピ開発に力を入れ、ウェスティン都ホテル京都様守山市様学生生協食堂様ワシントンホテル様・桃屋様など数多くの市町村や企業様と共同でレシピ開発を行いました。

メニュー開発において最も大切にしていることは何ですか?

喫食者に喜んで食べてもらえるようなレシピになっているかどうかということは常に1番気にかけている点です。どれだけ私が美味しいと思ったとしても、喫食者の年齢や、提供する地域、季節によって喜ばれる食べものであるかということは異なります。そのような背景もしっかりと理解した上でいったい何が最適であり、喫食者に喜んでもらえるかということを考えてレシピ開発をしています。

メニュー開発をする上で最も楽しい部分は何ですか?

考案したメニューが喫食者に届き、喜んで食べてもらえた時が一番やりがいを感じます。また、試作を重ね、自分が思い描いていた味になったときはとても嬉しく、楽しさを感じる部分でもあります。試作を重ねても納得のいく味にならず、心が折れそうになったことも幾度となくあります。しかし、諦めずに挑戦し続けた後の達成感は、普段の何倍も多く感じられることも知っているので、困難に直面したときにはその達成感を得ることや喫食者の笑顔になった姿を想像して頑張っています。

新しいメニューを考案する際のプロセスを教えてください。

まず始めにテーマを決めるようにしています。このレシピの売り(特徴)を決めておくと今後の試行錯誤で行き詰まったとしても、目標を見失わずに済むからです。
次に、使いたい食材や調理法、料理様式を決めます。
そして、使いたい食材とテーマが合致するレシピを模索し、レシピ化します。
そして実際に試作し、手順やレシピの改良を納得いくまで繰り返します。
この手順を踏むことによって、1つのレシピを完成させています。

アイデアを実現するためにどのようなステップを踏んでいますか?

日頃から食に関する情報のアンテナを張り巡らせるようにしています。
食に関するトレンドや、新たなる調理方法などについて様々な媒体を活用して、情報収集をしています。最近のマイブームは、知り合いからオススメのお店を聞き、スマホのマップ上にピンを刺し、休日や時間の空いたときに実際にそのお店を巡る事です。自分の趣味嗜好とは異なるお店との出会いもあったりするので、自分自身の視野が広がり各種レシピ開発での幅の広がりにも繋がっていると思います。

食材の選定や調達にはどのような工夫をしていますか?

食材のポテンシャルを活かせるように工夫しています。なるべく新鮮なものを使用するために地域のものを使用したり、一番美味しい時に喫食していただくために、旬のもの積極的に使用したりするように意識しています。また、旬のものを食すと季節感というのも感じて頂けると思うので、食での四季というのを意識してレシピ開発を行っています。

開発中に直面した課題や困難な点は何でしたか?

レシピを提供する施設によって使える調理機器であったり、調理法であったりが限られることや、喫食者の特徴もその時々によって異なるため工夫が必要であることがレシピを考えるにあたっての課題でした。
また、何度も試作を繰り返し行っても自分が思い描いている味にならず、途方に暮れたこともありました。
納得いくまで、終わりの見通しが立たない作業をすることはとても困難でした。

開発したメニューの中で、特にお気に入りの一品は何ですか?

特にお気に入りの(印象に残っている)メニューは、外部のコンペティションに初めて参加させていただいた際に、最優秀賞を頂いた「桃屋商品大集合ですよ!鶏つみれのクリーム煮」です。桃屋の刻み生姜、桃屋のメンマ、鶏ミンチ、長ネギを使用した鶏つみれと、白菜をクリームで煮たものに、上から桃屋の辛そうで辛くない少し辛いラー油とごはんですよ!をかけた一品です。大学で学び得たことは、外部でも通用するものであったなと感じる瞬間でした。

そのメニューの特長やこだわりポイントを教えてください。

レシピ考案をする際に桃屋様の商品紹介HPを見ていると沢山の商品があり、これを沢山使った料理が作れれば、面白いなと思ったのがきっかけです。
ホテルでの提供が2023年10月1日~12月27日と秋~冬との事だったので、暖かい冬に食べたくなるクリーム煮を選び、その季節が旬の白菜を使うことで季節性が感じられるような一品にしたことが特徴です。

こだわりは、鶏肉では無く、あえてつみれにしたことです。小さいお子様や、高齢者の方も食べやすくなり、様々な年代の方に食べて頂けるものにしました。
また、桃屋様とWHGホテル様のタイアップ企画であったため、桃屋の食材を多く使用したことと、ホテルのビュフェのテーマに合うように工夫したこともこだわりのポイントです。

メニュー開発を通じて学んだことや成長した点は何ですか?

  • 何事も初めからは上手くいかないこと。
  • 幾度となく困難に直面しても、諦めず続けることが大切であること。
  • どんな些細な経験であっても決して無駄なものは1つもなく、どこかで自分自身に還元されるということ。

上記のようなことについて、レシピ開発を通じて学び、自分自身とても成長しました。

今後のメニュー開発に活かしたいアイデアや方向性はありますか?

  • 味はもちろんのこと見た目も楽しめるようなもの
  • 1つの料理でいくつもの味を味わえるようなもの
  • 途中で味や見た目が変わる一手間かかったもの

など食べ進めていく中でも、ストーリーや変化を感じてもらえる様なものを考案し、喫食者が「次はどんなことが起こるのだろうか?」とわくわく、ドキドキしながら食べてもらえるようなレシピを開発してみたいと考えています。

新しい挑戦やプロジェクトについて教えてください。

今後は知見を広めるため、海外の食について現地に赴き歴史や環境における食への影響について学び、調査したいと考えています。実際に昨秋にはシンガポールに出向き、「シンガポールにおける多様性(ダイバーシティ)の融合の探求~食や文化を通じて~」を行いました。
また、イタリアのトリノ市で開催される世界最⼤の⾷の祭典「テッラマードレ」に⽇本代表団として参加する権利も手にしました。

テッラマードレでは全人類の共通である「食」を通じて世界中から人が集まり、美味しい食べ物を分かち合いながら、学び、刺激を受けることにより、地球規模で起きている物事を見つめ直すことが可能となります。新たな観点を知ることで、自分の身の回りの食文化の魅力について再度見つめ直すことができる良い機会になるのではないかと考えます。食の新たな可能性や食を取り巻く問題への解決の手がかりについても様々な側面から熟考したいです。

今後の目標は?

私の人生を通じての目標は、誰かの人生に食で彩りを足したり、食を豊かにしたりすることです。そのために、多角的な食に関する様々な種類の経験を積みたいと考えています。
既に食品メーカーへの就職が決まっており、今春から社会人となります。大学や大学院で学んだことを最大限に活かし、学ばせていただいたことをしっかりと社会に還元できるような社会人になりたいです。また、自分にしか成し得ないような食のアプローチをし、食を通じて世界を素敵にしたいです。そのために、これからも日々の研鑽を怠らず、知識の向上や知見を得ることに貪欲に生きていくことが目標です。

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