アグリDX人材育成事業では、農業の低コスト化を目指すための小型ドローンを用いた作物の生育診断や、農業用ドローンを用いた農薬や肥料の散布、さらに自動操舵トラクターによる耕耘作業の効率化などを教示しています。
一方で、農耕地やそこに生育する作物の情報を詳細に数値化し、クラウドに蓄積して、そのデータを可視化したり、作物の生育との関係を解析するスキルも磨きます。そのデータの一つに、水田から発生するメタン(CH4)や畑から発生する一酸化二窒素(N2O)のモニタリングデータがあります。
水を張った「水田」土壌が嫌気的であるのに対して、酸素が多い好気的な「畑」土壌において発生する温室効果ガスに一酸化二窒素(N2O)があります。コムギやダイズなどを栽培する「畑」では、有機物がすぐに分解してしまうためにこれらの作物の生育と収量を確保するために、しばしば速効性の窒素肥料が施用されます。中でもアンモニア態窒素や尿素は好気的な条件下で微生物の働きによって硝化(硝酸態窒素に変化)されますが、その過程でN2Oが排出されます。このN2Oは炭酸ガスの300倍ほどの温暖化ガスとしての影響があると言われています。
本事業では、写真のようなモニタリング装置を用いて、「畑」から自動的に採集したガス中のN2Oの量を一年を通じて経時的に測定しています。もう一方の温暖化ガスであるメタンのモニタリングでは、比較的広い圃場の排出量を経時的に測定していますが、このN2Oの測定装置では、比較的小区画の施肥量が異なる複数の圃場からのガスを自動的に採取して、5分間隔で連続的に測定しています。無機化学窒素肥料を施用した区画からは施用直後からN2O濃度の明らかな上昇がみられます。牧の実習圃場における実際のN2O発生について、今後具体的な数値としてクラウドにあげていきますので、メタンとあわせて継続的に着目していってください。
もう一方の温暖化ガスであるメタン(CH4)については、下記の記事に示す別の測定装置でモニタリングしています。
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