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アグリDX 人材育成事業

農学部4学科合同「食の循環実習Ⅱ」

デジタルマインド・スキルを持った人材が必要な背景

政府は2020年10月「2050年カーボンニュートラル」を表明しました。2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、脱炭素社会の実現を目指すという宣言です。瀬田キャンパスがある滋賀県は「滋賀県低炭素社会づくり推進計画」を策定しています。温室効果ガス削減の目標を2030年度において、2013年度比で23%としています。

現在、人為起源の温暖化ガス排出量の1/3は、生産加工・流通・消費・再利用によるものという報告があります。農作物の「生産」の場面では、特にメタンガスと一酸化二窒素の排出増加が危惧されています。しかしながら、現在の日本では農耕地での温暖化ガス排出や炭素貯留の数値化が進んでいません。そこで、デジタルデータを取得、活用することでこれらの栽培管理手法や農耕地保全技術を進化させ、脱炭素社会の実現に向けたデジタルマインド・スキルを持った個人農業者や生産法人及びその指導者となる人材を育成します。この取り組みは滋賀県をはじめ全国の各地域が抱える農業分野の課題解決と地域活性化を誘導し、地域創生に貢献することができます。

多様なプログラムで学ぶ「食の循環実習」 の高度化

農学部では、植物生命科学科・資源生物科学科・食品栄養学科・食料農業システム学科(約450名受講)4学科横断型の必修科目として、1年次後期の「食の循環実習I」から2年次前期「食の循環実習II」にわたり1年間かけて学ぶ実習科目を開講しています。本実習では、農作物の栽培・収穫から、加工、流通、消費、再生といった「食の循環」を体験し、それぞれのプロセスの課題や関連性を見つけて学びを深めています。具体的には、農場での栽培・収穫、収穫物の加工実習、農業基盤である地域の環境学習、農業体験施設の見学、食や農に関する講義など、多様なプログラムを通して学修しています。

2022年度は文部科学省の大学改革推進等補助金の「アグリDX人材育成事業」に取り組んでおり、最先端の農業IoT機器などを配備し「食の循環実習」の高度化に向けて取り組んでいきます。

環境データを数値化・分析し「成果発表会」にて報告

2022年度後期「食の循環実習II」では1班につき約30名、16班に分かれて、各班で栽培計画の立案、圃場の整備・土づくり、作付け、栽培管理、収穫に取り組みました。

4月は耕運機を使った土起こしをしたり、畝を立てて堆肥を施したりと、土づくりから始まります。5月はナスなど夏野菜の苗の定植・管理、花卉(かき)の差し木、6月は夏野菜の収穫、コムギの収穫と稔性調査と、さまざまな課題に取り組みました。管理当番は実習以外の時間に、灌水や除草、栽培の記録のために農場に足を運びました。全班が共通して栽培する農作物は、エダマメ・ナス・メロン・キュウリ・トマトなどで教員から指導を受けながら育てます。その他に、班ごとに決めた農作物もあり大学院生のTA(ティーチング・アシスタント)のアドバイスを受けて栽培。各班はそれらの指導・アドバイスを受けながら、農作物の栽培と農耕地管理をおこないデータを取得・蓄積して解析します。日時、天気、作業内容をはじめ、地温、土壌pH、土壌水分含量などを記録するとともに写真撮影もおこないます。農作物の生育状況と合わせてデータを分析することで、栽培方法と環境要素の関係を数値化していきます。7月には各班が数か月間にわたって取り組んだ成果を発表する「成果発表会」を開催。「成果発表会」は、司会進行を学生・大学院生が担当し、各班は、栽培の記録を写真とともにパワーポイントで発表しました。栽培での苦労や工夫のほか、データ解析でわかった成功・失敗の理由を発表しました。質疑応答では聴講していた学生からの質問にも回答するなど、従来よりもさらにデータを数値化・分析した内容が盛り込まれた報告内容でした。

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