中村 千春

教員氏名

中村 千春(なかむら ちはる) 教授

学位

Ph.D. Agronomy (農学)

学歴

コロラド州立大(米国)・院・農学

専門

植物遺伝育種学

その他

井植文化賞(科学技術部門)(2005年)、ブルガリア農学アカデミー名誉博士(2009年)、ノルテ大学(アスンシオン、パラグアイ)名誉教授(2011年)、神戸大学名誉教授(2013年)、兵庫県科学賞(2014年)、Joint Genomic Center,Sofia University(ブルガリア)名誉評議員など。

核細胞質相互作用を育種利用する

冠水ストレスは乾燥ストレスとともに世界の穀物生産にとって深刻な脅威です。研究の目標は、世界三大穀物の一つとして私たちの食生活を支えているパンコムギを対象に、冠水ストレスに強く水田転換畑での作付けに適した品種育成の可能性を探ることです。

植物の細胞中にあって光合成の場として働く葉緑体と呼吸を担うミトコンドリアはどちらも細胞内共生というプロセスを経て真核細胞の祖先細胞中で核と共に進化してきました。独自のゲノムを持つこれら2つの細胞質オルガネラは核との密接な依存関係を保ちつつ、様々な情報のやりとりを通じて植物体の恒常性維持に大切な役割を果たしています。

核ゲノムと細胞質ゲノムの対話(クロストーク)がどのような仕組みを通じて冠水ストレスに対する感受性レベルを決めているのかを解析するための格好な実験系がパンコムギには存在します。パンコムギの細胞質ゲノムを多様な近縁野生種のそれで置き換えた核細胞質雑種と呼ばれる貴重な遺伝コレクションです。

具体的には、核細胞質雑種コレクションを活用して、細胞質の遺伝的多様性や核細胞質ゲノム間クロストークを遺伝子発現の面から解析し、関与遺伝子群を明らかにしたいと思っています。

図1.核細胞質ゲノム応答の解析材料 核細胞質置換雑種(NC雑種)


図2.細胞質の効果(クロロシツ)


【可能な共同研究分野】 植物育種(パンコムギ胚乳タンパク質組成)

「ジョージ・ビードル “非凡な農民”―20世紀遺伝学の誕生」

ジョージ・ビードルは古典遺伝学から分子遺伝学への道を切り開いた非凡な科学者でした。その業績に対して数々の名誉を受けることとなりましたが、なかでも、エドワード・テータムとともに遺伝子の役割がタンパク質を指定するものであるとした発見は遺伝学発展の一つの転換点となった歴史的業績で、これにより1958年度のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。本書は、遺伝学の巨人の一人ビードルの最初の伝記で、この分野の最も優れた二人の研究者、ポール・バーグとマキシン・シンガーが執筆し、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版局から2003年に出版された著書の日本語版です。ご一読いただければ幸いです。訳者:中村千春

メンデルの仕事と生涯 「今に私の時代が来る」

メンデルが論文「植物雑種の実験」で遺伝の法則を明らかにした1866年から数 えて今年は150年になります。メンデルは、オーストリア帝国の小村ハイツェン ドルフの小農の子として生まれ育ち、苦学の青年期を経て、帝国第2の都市ブル ノの聖トーマス大修道院の修道士となりました。メンデルの才能を愛でた多くの 人々、わけてもナップ大修道院長の理解と支援を得て、ひそやかに、しかし確固 とした目標と信念をもって始めた10年に及ぶ仕事が遺伝学への扉を開いたのでし た。本書では、メンデルの仕事とその生涯を振り返って見ました。科学は優れた 個人の叡智と努力、そしてそれを支える多くの人々と時代背景のもとに生まれる という事実を、本書を書きながら思い起こしました。読者の皆様の何かの参考に なれば嬉しく思います。


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