多くの植物遺伝子は、ホルモンや代謝物などによる調節を受けて、決まった場所(器官、組織、細胞)で決まった時期(ライフステージ)に発現します。また植物は、光、温度、湿度などの物理的環境変化や、病原菌の感染、動物による食害などの生物的な刺激を感知して、それらの刺激に応答したり対抗するために、さまざまな遺伝子の発現を変化させます。このように、遺伝子の発現は各遺伝子毎に異なる機構で調節されています。私たちはこのような遺伝子発現の調節機構の一端をシグナル伝達や転写のレベルで探っています。具体的には、果実だけに発現する遺伝子、青色光/UV-A照射により発現が誘導される遺伝子、サイクリックGMPや一酸化窒素により発現が調節される遺伝子などについて、それらの調節機構を解析しています。また、得られた知見をもとに有用タンパク質を蓄積する遺伝子組換え植物の開発など、バイオテクノロジーに応用する道も探っています。3年生後期からの総合演習では、タンパク質・酵素の取扱、分子生物学の基本操作、植物の遺伝子組換え技術、などの基本的実験手法を習得しながら、各人が独自の研究課題のもとに研究と学習を進めます。